体脂肪が気になる、最近太ってきた、、けど牛肉を食べたい。という方にとって「赤身なら痩せられるんじゃないの?」もしくは「赤身なら少々食べても大丈夫なんだよね?」。
という淡い期待があるかと思います。
そこでこの記事では牛肉の赤身について「一般的に牛肉がダイエットに良いとされている理由について」基本的な知識とともに解説していきたいと思います。
・赤身の基礎知識
・赤身がダイエットに良いとされる理由
・カロリーや栄養素
・部位別のおすすめ調理法
牛肉の赤身肉とはどこの部位?

牛肉の赤身とはどの部位なのか?
基本的に牛肉の赤身とは脂肪交雑が少ない(サシが少ない)モモやウデの一部、或いはフィレといった部位の一部も赤身として扱われることがあります。
ただ、ヒレ肉はロースやカルビと呼ばれる部位と同様に、柔らかくて美味しい部位として評価が高いため、赤身部位というよりも、高級ステーキ部位として扱われています。
そのため、モモの一部である内モモ、シンタマ、ランプ、或いはウデの一部である「トウガラシ」と呼ばれる部位が、一般的に「赤身の部位」として扱われています。

そして「牛肉の赤身」というのは、霜降り肉のように筋繊維の間に入る脂肪(サシ)が少なく、しっかりと噛みごたえのある肉質が特徴です。
また、サシによる脂の旨みが混じることがないので、肉本来の旨みが楽しめることも特徴です。
要するに、口の中に入れると、とろけるような肉質を持つ霜降り肉の味わい方ではなく、しっかりと噛めば噛むほど牛肉本来の旨みが染み出してくる肉質と言えます。
一般的に赤身肉がダイエットにいいとされている理由


さて一般的にダイエット中の食材として「赤身肉」が良いとされていますが、そのように言われている理由について、カロリーや栄養素の視点からご説明したいと思います。
牛肉が「ダイエットに良い、太りにくい」と言われているのは主に以下の理由です。
①低カロリー
②栄養素が豊富
赤身肉がダイエットに良い理由:①低カロリー


人が太る原因は、摂取カロリーが消費カロリーを上回った場合に、消費しきれなかったカロリーが蓄積されて太ります。
そのため、太らないためには摂取するカロリーを消費カロリーと同じぐらいにしなければなりません。
更に、ダイエットによってスリムな体型を目指すのなら、一日の摂取カロリーを消費カロリー以下の量に抑えて、なおかつ体内の脂肪を燃焼させる必要があります。
赤身肉がダイエットに良いとされている理由は、脂身の付いた肉よりもカロリーが低いためです。このカロリーが低い赤身肉を、油を落とす方法で調理するとより効果的にカロリーを減らせます。
・肩、脂身付_286kcal
・肩、皮下脂肪なし_265kcal
・肩ロース脂身付_411kcal
・肩ロース皮下脂肪なし_403kcal
・バラ_517kcal
・もも脂身付_246kcal
・もも皮下脂肪なし_220kcal
赤身肉がダイエットに良い理由:②栄養素


低カロリーに加えて、赤身肉がダイエットに良いとされる理由が「栄養素」にあります。栄養素に関しては下の記事でも詳しく解説していますが、ここでも解説をしておきたいと思います。



一言で言えば赤身肉にはダイエットに有効な栄養素が豊富に含まれているということです。
・L-カルチニン
・ヘム鉄
L-カルチニン
ダイエット中で摂取カロリーを抑えながらでも、タンパク質などの必要な栄養素は体内に取り入れなければなりません。
その中でダイエットを行ってる人にとって重要な栄養素の一つに「L-カルチニン」というものがあります。
この「L-カルチニン」は体内の脂肪を燃焼させるアミノ酸の一種で、これを摂取することによって、脂肪を燃焼しやすい体質になります。
赤身肉にはこのL-カルニチンが豊富に含まれているのです。ちなみ一般的にダイエットに良いとされる鶏のササミ肉などにはこの成分はあまり含まれていないので注意が必要です。
ヘム鉄
牛肉の赤身にはヘム鉄という栄養素が多く含まれています。このヘム鉄を取ることによって、疲労回復に繋がり、貧血も起こりにくくなります。
牛肉には、豚肉や鶏肉の3~4倍もの鉄分が含まれています。また牛肉に含まれるヘム鉄は、植物性食品に含まれる非ヘム鉄分よりも、5~10倍も吸収性が高いといわれています。
鉄分は貧血に限らず、手足の冷えや枝毛などの予防、酸素を全身に送り疲れにくい体をつくることにも効果的です。
牛肉の赤身は筋トレにも効果的


牛肉の赤身は、ささみよりも筋トレに効果的であると言われています。
その理由は、良質なタンパク質である赤身肉を取ることにより、体脂肪を身につけることなく、代謝に必要な筋肉を補強できるからです。
また、筋肉の成長に一定量が必要だと言われている男性ホルモンにテストステロンという物質があります。
じつは、このテストステロンの分泌を促す飽和脂肪が、ささみより牛肉の赤身の方に多く含まれているのです。脂肪の量はささみが少ないのですが、筋トレによって筋肉を成長させる面では、牛肉の赤身のほうが適しています。
ただし食べ過ぎには注意しましょう。
ただし牛肉の赤身を取りすぎると飽和脂肪酸の働きにより体内の中性脂肪やコレストロールが増え、動脈硬化を引き起こすリスクが高まります。
また、ヘム鉄と飽和脂肪酸の摂取量が多すぎるとインスリンの感受性が低下して糖尿病を引き起こしやすい要因になります。
何事も「過ぎたるは及ばざるが如し」ということで、取りすぎることに注意しましょう。
牛肉の赤身=硬い肉というのは本当なのか?


一般的にサシの多く入った「霜降り肉」よりも「牛肉の赤身」は硬い肉だと思われていますが、これは本当なのでしょうか?



日本の和牛の肉が柔らかいのは、サシが入りやすいように穀物飼料を与え、なおかつ肉が柔らかくなるように肥育しているからだと言われています。
対して、外国産の肉が硬いのは、牧草だけで育てているためサシが入っておらずに硬い肉になっているとも言われています。
確かに与える飼料や育て方によって肉の硬さが違ってくる場合もありますが、一般的に牛の肉が固くなる最大の要因は、その部位の運動量です。
同じ牛から取れた牛肉でも、よく動かされる筋肉の部位と、あまり動くことのない筋肉の部位では、硬さが違ってきます。
「ネック」と呼ばれる肩ロースの先の首に当たる部位は、生体時に牛がよく首を動かすので、和牛であっても、とても硬くなっています。
またモモ肉も同様で、よく動く外モモの部分は硬い肉になりやすいためステーキなどには向きません。
逆にあまり動くことのないヒレ肉やロースといった部分は、筋肉が固くならず、柔らかい部位として商品の評価が高いのです。



以上のことから言えるのは「牛肉の赤身というのは部位により硬さが異なる」ということです。そうなると次に考えるべきことは「部位ごとにどんな食べ方をすれば美味しく食べられるのか?」ということ。
その調理法について次に解説します。
牛肉の赤身:部位ごとのおすすめ調理法


ここでは、牛肉の赤身を美味しくいただくための部位ごとに適した調理法をご説明します。
部位 | 調理法 | 解説 |
---|---|---|
ヒレ肉 | ステーキ | 赤身肉のステーキとしては最高の部位です。とても柔らかくステーキで赤身の旨みを堪能できます。 |
内モモ | ローストビーフ すき焼き しゃぶしゃぶ |
モモの部位としては比較的柔らかく、塊肉の調理材料としてもつかえます。 薄切りにして、すき焼き、しゃぶしゃぶでも美味しくいただけます。 |
外モモ | 煮込み料理 カレー シチュー |
外モモはよく動かす部位なので肉は固めですが、脂肪分が少なくあっさりとしています。 どちらかと言うと煮込みや角切りでカレーやシチューに向いているでしょう。 |
ランプ | ステーキ すき焼き しゃぶしゃぶ |
サーロインの後ろに位置するモモ上部の柔らかい赤身です。 ステーキ用としても人気が高い部位です。 |
シンシン | ローストビーフ | モモの一部で柔らかい場所です。ローストビーフにおすすめです。 |



牛肉の赤身のおすすめの品種やブランドは?


最後に牛肉の赤身でおすすめの品種やブランドなどをご紹介したいと思います。
赤身肉を選ぶ際のポイントとしてまずあげられるのが、国内産か外国産かというところです。
国産か外国産か
▶︎外国産ならアメリカンビーフがおすすめ
▶︎国産なら和牛がおすすめ
外国産ならアメリカンビーフとオージビーフの2択になりますが、おすすめできるのは穀物肥育で育てているアメリカンビーフです。
オージービーフは牧草主体なので、穀物肥育で育った牛肉に慣れている日本の消費者には、少しクセがあると感じるかもしれません。
また国内産で選ぶならば、国産牛か和牛ということになります。
肉本来の旨みを楽しみたいのなら和牛一択です。国産牛には乳用牛のオスかや乳用牛と和牛の交配種が多いですが、肉用牛として肥育された和牛ほどの旨みがありません。
ご予算が許す限り和牛をおすすめします。
和牛のおすすめの品種とブランド


日本の和牛としてメジャーなのが「黒毛和牛(和種)」なのですが、赤身で美味しい和牛となると、褐色和種、日本短角種、無角和種といった品種がおすすめです。



褐色和種として有名なのが「肥後のあか牛」と呼ばれる「くまもとあか牛」です。同じ祖先を持つとされる「土佐のあか牛」も近年の赤身肉ブームによって人気が上がってきています。
日本短角種で有名なのが「いわて短角牛」で、赤身の旨みが味わえる肉として人気があります。柔らかい赤身として近年に人気が出てきているのが山口県の「無角和牛肉」です。
いずれの肉も、黒毛和牛のブランド牛よりお求めになりやすい価格なので、おすすめします。
