牛肉には様々な部位がありますが、サーロインやリブロースなど様々な名前の部位があり、実はその特徴とか詳しい場所とかって分からなかったりするかと思います。
特にサーロインに関してはステーキ店や焼き肉店で、実際に食べたことがあり名前は聞いたことはあるものの、具体的に説明しろとなったら「どんな特徴があるのか」「どの辺の部位なのか」「リブロースとはどう違うのか」そういった事ってなかなか分からないですよね。
そこで今回はステーキ肉として定番の「サーロイン」の名前の由来や、サーロインとともに高級部位とされる「リブロース」「ヒレ肉」との違いなどを解説していきたいと思います。
サーロインの名前の由来は大きく2つの説がある

実はサーロインという部位の名前の由来は大きく分けて2つの説があります。それが以下に記載している2つです。
①フランス語の「surlonge(シューロンジュ)」
②ヘンリー8世がが命名
①フランス語の「surlonge(シューロンジュ)」から来ている説

それでは最初に①のフランス語から来ている説に関して簡単にご説明します。
肉の部位のサーロインは英語で「sirloin」と記載しますが、この言葉はもともと14世紀にフランス語で「surlonge(シューロンジュ)」と呼ばれていて、16世紀に入り英語の「sirloin」へと変化していったそうです。
このフランス語の「surlonge(シューロンジュ)」という言葉は「sur」が「上部」、「longe」は「腰部」の意味があります。
②ヘンリー8世が名付けた説

別の説ではテューダー朝時代ののイングランド王、ヘンリー8世(1491~1547年)が名付けたとされる説もあります。(こっちの説の方が有名かもしれません)
ヘンリー8世は夕食の際にサーロインステーキを食べ、あまりの美味しさに「これはどこの肉だ?」と尋ねたところ、「ロイン(腰肉)です」とかえってきた。そこで、感動的な美味しさを味わったヘンリー8世はこの「ロイン」という部位の肉に「貴族の称号であるサー(ナイト爵)の称号を与える」と言ったことから、“サー(ナイト爵)”の“ロイン(腰肉)”となった
という説もあり、チャールズ1世や2世にも同様の話があります。
この「サー」という言葉は、イギリスの貴族階級で准男爵の爵位を持つ者や、大英帝国勲章などを授与された男性のみが用いることを許された格式ある称号でした。
現代の有名人でいうと、紅茶リプトンの創業者であるサー・トーマス・リプトン氏やビートルズのポール・マッカートニー、映画監督スティーブン・スピルバーグ、俳優ショーン・コネリーなど歴史に名を残すそうそうたる顔ぶれの人物に与えられています。
ちなみに日本人では、トヨタ自動車名誉会長の豊田章一郎氏やソニー創業者の盛田昭夫氏、パナソニック元名誉会長の松下正治氏が大英帝国勲章を授与され、皆「サー」の称号を正式に名乗れるのだそうです。
こうした誰もが認める偉大かつ高貴な人物のみに与えられる「サー」の称号。それだけにヘンリー8世があまりの美味しさに感動し、「サーロイン」と名付けたという説は、とても名誉ある素晴らしい出来ごとであったということですよね。
どちらの話が本当であっても、このサーロインという名前の由来にはとても古い歴史が隠されていることがわかります。
サーロインの肉の特徴は適度な霜降りと濃厚な甘み

サーロイン肉は先ほど名前の由来でご説明した通りサーロイン(腰の上)から取れる肉です。ヒレ肉を挟んでうしろの部分に位置しています。
このサーロインですが、なんと1頭の牛から20㎏程度しか取れない希少な部位です。アメリカではストリップロイン、ショートロインと呼ばれ、最もポピュラーなステーキの部位となっています。
サーロインの食感は、程良い柔らかさの一方で少し噛み切りにくい硬さがありますが、肉質はキメが細かく霜降りも適度で甘みが強いのが特徴です。
View this post on Instagram
玉造のステーキ、予約困難になりそう。 #玉造 #ステーキ #stake #ローストビーフ #肉寿司 #いちぼ #ヘレ #サーロイン #ランプ #lamp #楽しい飲み会 #コスパ最高 #写真下手
そんなサーロインの一番美味しい食べ方はやはりステーキです。しかしローストビーフやすき焼き、表面だけをさっと炙ったタタキにしてもよく合います。
サーロイン値段はどのくらい?

さてそんな希少部位であり、人気の部位のサーロインですが値段はどの程度なのでしょうか。インターネットで色々と調べてみたところ、オーストラリア産であれば300グラム1,500円くらいというものもありました。

ちなみにステーキ店として有名な「いきなりステーキ」では、1グラムあたり「8.2円」となっており、300グラムだとアンガス牛のサーロインステーキが2,460円で味わうことができます。
サーロインとリブロースやヒレ肉はどう違う?


以前はステーキといえば「サーロイン」でしたが、今では「リブロース」や「ヒレ肉」を使ったステーキを食べる機会も多くなってきました。そんなリブロース、ヒレ肉はサーロインと比べてどんな違いがあるのでしょうか。
知っているようで意外と知らない、この違いについて解説します。
リブロースの部位はどこ?
よく耳にする「ロース」という言葉は、肩ロース・リブロース・サーロインの総称で牛の肩から腰にかけての肉を指します。
そして、この語源は「ロースト(焼く)」という言葉からきており、リブロースはそんなロースの中でも“最上級部位”として位置付けられています。
またリブロースは海外ではリブロインと呼ぶことも多く、アメリカではリブアイロール、オーストラリアではキューブロールと呼ばれています。
リブロースの位置は、隣り合うサーロインよりも肩に近い前部分にあり、ヒレ肉よりも上(背中側)に位置しています。


肋骨に触れていない部分の二重構造になっている平らな部分はバラ肉に似ています。この部分を取り除き、残った部分が牛肉でもっとも柔らかい肉質であるリブロースにあたるのです。
リブロースの特徴


「リブ」はアバラを意味しており、アバラというのはよく動かす部分のため適度な筋肉が付き、脂身の多いサーロインと比べ赤身と脂質のバランスが良い肉です。
このリブロースはサーロインと同様1頭から20㎏程しか取れない貴重で人気の部位です。
また、サーロインやヒレと並んで美味しい部位といわれているリブロースは、肉質がきめ細かく、霜降りも入りやすい上級部位で、熱を加えると肉汁が溶けだしとてもジューシーでとろけるような食感になります。
肉の中に適度に脂が入り込み、「赤身肉の凝縮した味わい」も「脂身のジューシーさ」もどちらの良さも合わせ持つ、まさに“良いとこどり”の部位となっています。
リブロースの美味しい食べ方
食べ方としては、肉の旨味をしっかりと感じる事ができる、ステーキや焼き肉、バーベキューでも美味しく味わえますが、最もオススメなのは“ローストビーフ”です。
リブロースは筋が少なく、長時間焼き上げることで甘みが増して脂質が全体に溶けだし旨味が引き立ちます。冷めても美味しいので、サンドイッチやサラダに添えても美味しいです。
リブロースの値段はどのくらい?


リブロースの価格の参考として「いきなりステーキ」では300グラム、1,980円~2,190円くらいで食べられます。
ただ、いきなりステーキで2,000円ほどで食べられるリブロースは外国産であり、国産のリブロースの値段とはまた違います。
国産のリブロースは外国産のものに比べかなり高くなっており、外国産のものに比べ5~6倍近い値段がつく事もあるのでその辺は注意が必要です。
とはいえ先に紹介したサーロインと比べるとお手頃で安く購入する事が可能な部位となっています。
ヒレ肉の部位はどこにある?


ヒレ肉はサーロインとリブロースの真下の場所にあり、1頭の牛からたった3%しか取れない希少な部位とされています。
また、ヒレ肉は牛の部位の中では最も運動が少ない大腰筋と呼ばれる筋肉のため、筋の少ない牛肉随一の柔らかくさを持つ赤身肉を楽しむことが出来る部位です。
さらにこのヒレ肉の真ん中にある600~800gの良い部分だけを「シャトーブリアン」と呼び、これは牛肉の中で最も希少性が高い部位です。



ヒレ肉の特徴は柔らかくマイルドな味わい


サーロインと比べ脂肪が少ないヒレ肉は、味がマイルドで老若男女問わず誰でも味わいやすいのが特徴です。
肉質は極めてきめ細かく、舌触りもまろやかで非常にクセがないお肉です。ただ焼き過ぎると固くなることがあるので、ステーキではレアやミディアムがオススメで、その際は濃い下味を付けたり濃い味のソースを合わせるのが良いでしょう。
ちなみに、「Tボーンステーキ」はヒレとサーロインの両方が食べられる贅沢なステーキで、ヒレの部位が3分の1を超えるものは「ポーターハウス」と呼ばれています。
ヒレ肉の値段はどのくらい?


高級牛のひとつ、ヒレ肉は、シャトーブリアンに続いて2番目に高い牛肉として知られています。ちなみに3番目にサーロイン、4番目にリブステーキという順番になっています。
価格としては、やはりサーロインやリブロースに比べると少しお値段が高くなっており、「いきなりステーキ」では1グラムあたり「9円」、300グラム2,700円ほどで食べる事ができます。
画像にある通り、神戸牛などのブランド牛のヒレ肉となると値段は格段にアップします。
脂肪の甘さを感じたい、ガツガツ肉を食べたいなら「サーロイン」、重さがなくさっぱりと食べたい、やわらかく食べやすいお肉が食べたいなら「ヒレ」、どちらも捨てがたく、赤身と脂肪の両方を楽しみたいなら「リブロース」がオススメです。
サーロイン・リブロース・ヒレ肉の栄養価の違い


最後にサーロイン・リブロース・ヒレ肉のそれぞれの栄養価についてまとめてみました。(文部科学省:食品成分データベースより参照)
肉の種類 | エネルギー(kcal) | たんぱく質(g) | 脂質(g) |
サーロイン | 317 | 17.1 | 25.8 |
リブロース | 436 | 14.0 | 40.0 |
ヒレ肉 | 223 | 19.1 | 15.0 |
※和牛肉/赤肉/生で統一し、100グラム当たりに含まれる成分を算出
ご覧の通りこの表を見てわかる通り、現在ダイエット中の方や、良質でより多くのタンパク質をとりたい方は「ヒレ肉」がオススメです。
そして、意外とサーロインよりもリブロースの方が脂質が多いことが分かりました。特にリブロースは脂っこいと感じる方も多いので、あまり脂身が好きではないという方はサーロインをチョイスしてみるのが良いかもしれません。
サーロインまとめ


今回はステーキ肉の人気部位サーロインについてまとめました。ご覧いただいた通り、サーロインは古くからの歴史があり、長年愛されてきた牛肉の部位です。
そして特徴としてはフィレ肉とリブロースを足して2で割ったような牛肉であるという事が分かっていただけたかと思います。
個人的な感想を言えば、ステーキを食べるのであればリブロースよりもサーロインの方が絶対にオススメです。非常に美味しい牛肉ですのでふるさと納税などでステーキを探す際には是非サーロインを検討してみてください。
