牛肉はお好きですか?牛肉には赤身肉と霜降り肉があり、人によって好みが違います。一般的には若者は脂の乗った霜降り肉、年齢が上がるにつれて赤身肉を好むようになるというイメージかと思います。
ただ価格としては一般的には赤身肉の方がリーズナブルで、霜降り肉の方が高級です。ではなぜ霜降り肉の方が高級なのでしょうか。そこで今回は「霜降り肉はなぜ高級なのか」ということを基本的な知識を中心に解説します。
・霜降り肉が高級な理由を知りたい!
・霜降り肉が重宝されているのって日本だけ?
・高級ってことは美味しいの?
霜降り肉とはそもそも何なのか?

霜降り肉がなぜ高級なのかを解説する前に「そもそも霜降り肉とはなんなのか?」を理解しておいた方が理解が深まります。
霜降り肉は、食肉のうち脂肪が筋肉の間に細かく網の目のように入っているものである。引用:Wikipedia
霜降り肉に明確な定義はありませんが、上記の通り一般的に言われている霜降り肉は「サシ(脂肪)が細かく霜降り状に入っている肉」のことです。
霜降り肉が高級とされる理由

さて、本題ですがそんな霜降り肉がなぜ「高級」とされているのでしょうか?一般的には知られていませんが、そこには明確な理由があります。それは下記の3つの理由です。
・牛肉のランクを決める1つの要素が霜降り具合である
・飼育するのが容易ではない
・需要はあるが供給できる数に限りがある
霜降り肉が高級とされる理由1
「牛肉のランクを決める要素の1つが霜降り具合である」

唐突ですが牛肉にはランクが付けられていることをご存知でしょうか?A5ランクの肉と言えば聞いたことのあるかもしれません。
牛肉のランクは「アルファベット」と「数字」で表されており、アルファベットがA・B・Cの三段階、数字が1~5の五段階で牛肉のランクを表しています。
そしてアルファベットは「歩留まり」といって、1頭の牛から肉が取れる量を指し、数字が肉の質を指しています。
肉の質に関しては「霜降り具合」も考慮して決められているので霜降り肉が良い肉は高級とされているのです。

引用元:仙台牛牛肉のランクに関して詳しく知りたい場合は牛肉のA5ランクってなに?A5ランク牛肉が必ずしも最高ではない理由!という記事を参考にしてみてください。

霜降り肉が高級とされる理由2「飼育するのが容易ではない」


霜降り肉を生み出すためには、脂を蓄えた牛を飼育する必要があります。その牛を飼育することが容易ではないため、霜降り肉は高級とされています。
何となく素人考えでいけば、エサを多くやっておけば太って脂が蓄えられるのではないかと思うかもしれませんが、実際にはそんなことはありません。
美しく美味しい霜降り肉にするには良いエサをやり、牛にストレスのない飼育環境がなければよい霜降り肉を作ることはできないのです。
いわゆるブランド牛というのは、長い年月をかけてそういった試行錯誤を繰り返し質の良い上質な霜降り肉を作っているからこそ高価でやりとりされているのです。



霜降り肉が高級とされる理由3「美味で需要はあるが供給できる数に限りがある」


霜降り肉と言えば「和牛」と言われるほど日本人は牛肉が大好きです。日本人はUS産やオージービーフなどの赤身肉よりも和牛のような霜降り肉を好む傾向があります。
できることなら日常的に霜降り肉を食べたいと思っている方もいるでしょう。それほど、霜降り肉は上質で美味です。
しかし、前述したように飼育することが容易ではなく、需要に対して供給できる数には限界があるため霜降り肉が高級化してしまうのです。
霜降り肉ってどこの部位なの?


霜降り肉といっても、良い飼育環境で脂を蓄えた牛の肉全てが霜降り肉となるわけではありません。
部位によっては赤身の部分もありますし、一般的な牛では脂がほとんどない部分が霜降りになっている部位もあります。一般的に言われている代表的な霜降り肉の部位は下記の部位となります。
・リブロース
・サーロイン
・肩ロース
・三角バラ
・イチボ
代表的な霜降りの部位は以上の5つです。それぞれの部位の特徴を解説していきます。
霜降りの部位_リブロース


ロースの部位で最も厚みのある部位で、最も霜降りが入りやすいとも言われています。きめ細かく柔らかい肉質が特徴で、肉本来の味を楽しめる部位です。
ステーキやしゃぶしゃぶ、すき焼きなどで使用されることが多い部位です。
霜降りの部位_サーロイン


牛の腰部分の部位で、様々な部位の中でも最高級と称されている。柔らかい肉質と適度な霜降りでステーキに良く使用されている部位です。
肉の中でも最高級部位のひとつで、その美味しさからサー(騎士の称号)が与えられサーロインと名付けられたともいわれている極上のお肉です。ステーキの他にもすき焼きやしゃぶしゃぶなどに使用されることが多いです。



霜降りの部位_肩ロース


肉の部位の中で最も大きい部位のひとつでリブロースの隣に位置しています。霜降りが適度で肉の旨味と風味がしっかりと感じられる部位です。
希少部位のザブトンが肩ロースの一部から取られることもあり、極上の部位のひとつと言えるでしょう。焼肉やステーキ、しゃぶしゃぶに使用されることが多いです。
霜降りの部位_三角バラ


肩バラの一部で切った形が三角形であることから三角バラ呼ばれています。
霜降りが入りやすい部位で、濃厚な旨味と甘みからバラの中で最高の部位とされていあす。焼肉屋では特上カルビとして使用されることの多い部位です。



霜降りの部位_イチボ


臀部に位置するもも肉の一部です。基本的にもも肉は霜降りが入りにくいですが、イチボはもも肉の中で最も霜降りが入る部位です。美しい霜降りと柔らかい肉質から人気の高い部位です。ステーキや焼肉に使用されることが多い部位です。
霜降り肉は高級とされているだけあり、一般的に高級な料理に使用され、その味を損なってしまわないように味わうのがベストだということが伺えます。
今回ご紹介した部位に関しては、イチボやサーロインなど希少部位と呼ばれる部位も多数存在しました。そんな希少部位に関してご紹介した記事もありますのでぜひご覧ください。



霜降り肉が重宝されているのは日本だけ?


日本では重宝されている霜降り肉ですが、世界ではどうなのでしょうか。US産やオージービーフは霜降り肉はほとんどなく、「赤身で大きな塊肉」というイメージがあり、海外では赤身肉が好まれているのかな?という印象を受けます。
しかし、近年では霜降りの多く入った「和牛」は世界最高の肉と評価を受けることもあるのです。参考:ブラジルに初の和牛=価格は現地高級肉の10倍



実際、アメリカのビバリーヒルズにあるセレブ御用達のステーキハウスで和牛が使用されており、赤身肉がメインのアメリカでも和牛が浸透しつつあります。
とはいいつつその反面、やはり赤身肉を好む人もいます。赤身肉の動物感を重要視する声も多く、海外の方からすると和牛はステーキではなくフォアグラに近いと感じる方もいるそうです。
海外では賛否両論の霜降り肉ですが、近年では海外でも霜降り肉を生産するために脂を蓄えた牛を飼育する畜産業の方もいるため、霜降り肉の需要は今後さらに増加していく傾向にあると思っています。
霜降り肉は高級だからといって必ずしも美味しい訳ではない


世界的に注目を浴びる霜降り肉ですが、注意しなくてはいけない点があります。それは「霜降り肉だからといって必ずしも美味しい訳ではない」ということです。
これは様々な意見がありますが、大きな理由として「人によって好みがある」ということが挙げられます。
海外の方の事例を前述しましたが、日本人にも「脂が好きな方」と「赤身が好きな方」がいます。
たしかに霜降り肉は高級で肉の味や香りは赤身肉にはない美味しさがあります。しかし、例えばヒレ肉は牛肉の中でも高級な部位ですが、脂肪は少なくあっさりとした味わいです。しかし、ヒレ肉という部位の特性上とっても柔らかく食べやすいため多くの人に愛されています。
霜降り肉についてのまとめ


ここまで霜降り肉が高級とされる理由の基礎知識を紹介してきました。何となく霜降り肉について理解いただけたかと思います。
今や海外でも注目されている霜降り肉ですが、人によって意見は様々です。先ほど挙げたようにヒレ肉など霜降り肉でなくても美味しい牛肉はたくさんあります。
例えば下記の記事で紹介しているミスジなどは最近人気の部位です。詳しく解説していますので気になる方はみてみてください。



