みんな大好きな牛肉。焼肉はもちろんのこと、様々な料理で牛肉が使われ、日本人の国民食と言っても過言ではないでしょう。
そんな牛肉ですが、赤身肉と霜降り肉があり、人によって好みが違います。一般的には若者は脂の乗った霜降り肉、年齢が上がるにつれて赤身肉を好むようになるというイメージかと思います。
価格としては一般的には赤身肉の方がリーズナブルで、霜降り肉の方が高級肉の代名詞として使われる場合が多いかと思います。ではなぜ霜降り肉が高級肉の代名詞なのでしょうか?そもそも本当に高級なのでしょうか。
そこで今回は「霜降り肉はなぜ高級肉の代名詞なのか」ということを基本的な知識を中心に解説して行きたいと思います。
・霜降り肉が高級肉と言われる理由を知りたい!
・霜降り肉が重宝されているのって日本だけ?
・高級ってことは美味しいの?
こういった疑問にお答えしていきます
霜降り肉とはそもそもどんな肉の事を指すのか

霜降り肉がなぜ高級肉の代名詞なのかを解説する前に「そもそも霜降り肉とはどんな肉なのか?」ということを解説していきます。
霜降り肉に明確な定義はありませんが、一般的に言われている霜降り肉は「サシ(脂肪)が細かく霜降り状に入っている肉」のことです。
霜降り肉と言えば牛肉を思い浮かべますが、実は「霜降り肉」という言葉自体は豚肉や馬肉、時にはマグロなどの魚類にも使用されている汎用的な言葉なのです。
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霜降り肉が高級肉の代名詞となっている理由

さて、本題ですがなぜ霜降り肉は「高級肉」の代名詞とされているのでしょうか?一般的には知られていませんが、それには明確な理由があります。
①牛肉のランクを決める1つの要素が霜降り具合である
②飼育するのが容易ではない
③需要はあるが供給できる数に限りがある
以上の3つが霜降り肉が高級肉の代名詞とされる主な要因です。続いて上に挙げた内容を1つずつ解説していきたいと思います。
霜降り肉が高級とされる理由①「牛肉のランクを決める要素の1つが霜降り具合である」

まず1つめの理由は「牛肉のランクを決める要素の1つが霜降りの具合いとなっている」という事です。例えば「A5ランクの肉」というのは何となく聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
牛肉のランクは「アルファベット」と「数字」で表されており、アルファベットはA・B・Cの三段階、数字は1~5の五段階で牛肉のランクを表しています。C1が最低ランクでA5が最高ランクとなっています。
このランク付けの1つの基準として霜降り具合があるため、霜降りの良い肉は高級肉の代名詞とされているのです。

霜降り肉が高級とされる理由②「飼育するのが容易ではない」


霜降り肉を生産するためには、良質な脂を蓄えた牛を飼育する必要があります。その牛を飼育することが容易ではないため、霜降り肉は高級とされています。
何となく牛の飼育に関して無知の私たち一般人からすると、エサを多くやっておけば太って脂が蓄えられるのではないかと思うかもしれません。しかし実際にはそんなことはありません。
キメが細かで美味しい霜降り肉にするには良いエサをやり、牛にストレスのない飼育環境、綺麗な水、など様々な要素がなければよい霜降り肉を作ることはできないのです。
例えば高級肉の1つと言われる飛騨牛の生産を行っている「(株)飛騨萩原畜産」のHPには以下のような記載があります。
育成牛には、良質な草をお腹いっぱい食べさせ、健康で大きな胃袋を作ります。肥育期には、当社が選んだとうもろこしや大麦など他8種類もの飼料を、月齢、性別、体型などに合わせ自家配合した、萩原畜産特製のブレンド飼料で出荷までの約20ヶ月間愛情込めて飼育されます。年間を通して常に牛たちの事を考え、愛牛の心を胸に丹精込めてそだてています。引用:飛騨萩原畜産HP
霜降り肉が高級とされる理由③「美味で需要はあるが供給できる数に限りがある」


3つめの理由は需要と供給の話です。霜降り肉=「和牛の特徴」と言われるほど日本人は牛肉が大好きです。日本人はUS産やオージービーフなどの赤身肉よりも和牛のような霜降り肉を好む傾向があります。
しかし、前述したように飼育することが容易ではないので、需要に対して供給できる数には限界があるため霜降り肉が高級化してしまうのです。
例えば「50年に一度の霜降り」福島牛 生産者に知事感謝状 飼育の極意は「系統に尽きる」という記事が出るほど日本では霜降り肉の市場価値が高いのです。
霜降り肉ってどこの部位のことなの?


さてここまで、なぜ霜降り肉が高級肉の代名詞なのかを解説してきましたが、「じゃあそもそも霜降り肉ってどこの部位のことなんだっけ?」という事を次にお伝えしたいと思います。
霜降り肉といっても、良い飼育環境で脂を蓄えた牛の肉全てが霜降り肉となるわけではありません。部位によっては赤身の部分もありますし、一般的な牛では脂がほとんどない部分が霜降りになっている部位もあります。一般的に言われている霜降り肉の部位を紹介いたします。
・リブロース
・サーロイン
・肩ロース
・三角バラ
・イチボ
代表的な霜降りの部位は以上の5つです。それでは少しだけ各部位について解説してみます。その他の牛肉の希少部位等に関しては以下の記事を参考にしてみてください。



霜降り肉①リブロース
ロースの部位で最も厚みのある部位で、最も霜降りが入りやすいとも言われています。きめ細かく柔らかい肉質が特徴で、肉本来の味を楽しめる部位です。
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ステーキやしゃぶしゃぶ、すき焼きなどで使用されることが多いです。
項目 | 詳細 |
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特徴 | ロース肉の中では最も柔らかく、そして霜降りもできやすい部位となります。リブとはあばら骨の事で、サーロインやヒレに比べて赤身も脂もちょうど良い具合にバランスが取れています。 |
食べ方 | 何にでも適するの特徴。しゃぶしゃぶにもステーキも最適な肉がリブロースです。 |
霜降り肉②サーロイン
牛の腰部分の部位で、様々な部位の中でも最高級と称されている。柔らかい肉質と適度な霜降りでステーキによく使用されている部位です。
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肉の中でも最高級部位のひとつで、その美味しさからサー(騎士の称号)が与えられサーロインと名付けられたともいわれている極上のお肉です。ステーキの他にもすき焼きやしゃぶしゃぶなどに使用されることが多いです。
サーロインに関しては以下の記事で、シャトーブリアンとともに詳しく解説しています。とっても美味しい高級部位です。



項目 | 詳細 |
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特徴 | ステーキとして使われる事の多い部位。その名前の由来は、英国王があまりの美味しさに「サー(卿)」の称号を与えた事に始まります。ちなみにロインは「腰の肉」という意味があります。 |
食べ方 | 牛肉の中でも最高級の部位とされ、ステーキに最適です。 |
霜降り肉③肩ロース
肉の部位の中で最も大きい部位のひとつでリブロースの隣に位置しています。霜降りが適度で肉の旨味と風味がしっかりと感じられる部位です。
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希少部位のザブトンが肩ロースの一部から取られることもあり、極上の部位のひとつと言えるでしょう。焼肉やステーキ、しゃぶしゃぶに使用されることが多いです。
項目 | 詳細 |
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特徴 | 赤身ではあるものの、適度な脂身と柔らかさがあるのが特徴の肉。薄切りで使用する料理に最適。 |
食べ方 | しゃぶしゃぶや、すき焼き、カレー、肉じゃがなど薄切りで使用する料理に最適な肉。 |
霜降り肉④三角バラ
肩バラの一部で切った形が三角形であることから三角バラ呼ばれています。霜降りが入りやすい部位で、濃厚な旨味と甘みからバラの中で最高の部位とされている部位です。
牛一頭から約1㎏しか取れない超希少部位で焼肉屋では特上カルビとして使用されることの多い部位です。
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霜降り肉⑤イチボ
臀部に位置するもも肉の一部です。基本的にもも肉は霜降りが入りにくいのですが、イチボはもも肉の中で最も霜降りが入る部位です。
美しい霜降りと柔らかい肉質から人気の高い部位です。ステーキや焼肉に使用されることが多い部位です。
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一般的に霜降り肉と呼ばれる部位を紹介しました。多くの部位に共通するのはステーキやすき焼き、しゃぶしゃぶなどのシンプルな味付けで、肉本来の味を楽しめる料理に使用されることが多いということです。
霜降り肉は高級とされているだけあり、一般的に高級な料理に使用され、その味を損なってしまわないように味わうのがベストだということが伺えます。
霜降り肉が重宝されているのは日本だけ?


日本では重宝されている霜降り肉ですが、世界ではどうなのでしょうか?アメリカ産やオージービーフは霜降り肉はほとんどなく、赤身で大きな塊肉というイメージがあり海外では赤身肉が好まれているという印象を持っている方も多いかと思います。
しかし、近年では霜降りの多く入った「和牛」は世界最高の肉と評価を受けることもあるのです。実際、アメリカのビバリーヒルズにあるセレブ御用達のステーキハウスで和牛が使用されており、赤身肉がメインのアメリカでも和牛が浸透しつつあります。
事実財務省の貿易統計によれば、2010年頃にわずか500トンほどだった牛肉の輸出量は2017年には2,700トンを超えています。
とはいえもちろん赤身肉を好む人もいます。赤身肉の動物感を重要視する声も多く、海外の方からすると和牛はステーキではなくフォアグラに近いと感じる方もいるそうです。
海外では賛否両論の霜降り肉ですが、近年では海外でも霜降り肉を生産するために脂を蓄えた牛を飼育する畜産業の方もいるため、霜降り肉の需要は今後さらに増加していく傾向にあると考えられるでしょう。
霜降り肉は高級だからといって必ずしも美味しい訳ではない


世界的に注目を浴びる霜降り肉ですが、注意しなくてはいけない点があります。それは「霜降り肉だからといって必ずしも美味しい訳ではない」ということです。
これは様々な意見がありますが、大きな理由として「人によって好みがある」ということが挙げられます。
海外の方の事例を前述しましたが、日本人にも「脂身が好きな方」と「赤身が好きな方」がいるためその点は注意しておく必要があります。
霜降り肉についてのまとめ


今回は霜降り肉が高級肉の代名詞とされる理由について紹介しました。霜降り肉が高級肉の代名詞とされるのは、そもそも霜降りが牛肉のランク付けで重視されていること、需要が多い事、そして飼育の難しさにあります。
今や海外でも注目されている霜降り肉ですが、それもそのはずです。和牛特有の上質な霜降りは外国産牛で再現する事は非常にレベルが高い事なのです。
我々日本人は、この貴重な和牛を日常的に食べる事ができるのは非常に恵まれた事なのです。とはいえ和牛にも様々なブランド牛がありますので、下の記事なども参考に自分好みの牛肉を探してみてください。



