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三元豚ってなに?普通の豚と違うの?特徴や有名な銘柄を紹介

牛肉に比べお手頃で、家でもお店でもよく食べることの多い豚肉ですが、最近「三元豚」という名前を聞く機会が多くなってきています。

おそらく多くの人の認識では「なんとなく美味しい豚肉」というイメージがある三元豚ですが、今回はそんな三元豚について「実際のところどうなのか?」「そもそもどんな豚肉のことを指しているのか?」また有名なプレミアム三元豚や名前の似ている四元豚との違いなど、徹底的に解説していこうと思います。

 

三元豚とは何なのか?ブランド豚なの?

最近、スーパーや飲食店でよく見かける「三元豚」という名称。一見、ブランド豚の代名詞のように使われているこの言葉を正確に理解している人は意外と少ないのではないでしょうか。

実は現在日本で流通している豚肉の多くは「三元豚」で、普段私たちが口にしているほとんどがこれにあたります。

とんす
とんす
つまりそんなに珍しいものではないということだな♪

なぜ流通している多くの豚肉が三元豚なのかと言うと、実は三元豚とはそれ自体が品種や銘柄を表すものではなく単純に“3品種の豚をかけ合わせた総称”という意味だからなのです。

びーふぁー
びーふぁー
もうお分かりだと思いますが、四元豚とは「4種の豚を掛け合わせたもの」のことだな

しかも驚くことにこの現象は日本だけではなく、現在世界の約8割の豚が純粋な品種ではなく、違う品種同士のかけ合わせでできる雑種の豚でできています。

 

なぜ豚をかけ合わせるのか?

豚肉を掛け合わせている理由は色々とあります。1つには美味しい豚肉を作る目的がありますが、それ以外にも、養豚業の経営をまかなっていくための“生産量の確保”という課題に大きく関係しています。

現在、養豚農場の多くは、親豚となる「種豚(母豚)」を専門の農場から購入し、肉用豚となる子豚を産ませるため交配します。

そして生まれた子豚を「肉質と経済的観点」から、約6ヶ月、体重110kgほどまで育て、食肉市場に出荷するといった一貫経営を行っている場合がほとんどです。

このような飼育を行うためには敷地面積や従業員の確保はもちろんのこと、子豚のための暖房設備や、ふん尿処理施設など様々な初期投資を行わなければなりません。

また、6ヶ月という短い期間で次々と出荷していくサイクルを考えると、その分飼育頭数も何百~何千頭と必要になってきます。

さらにランニングコストの約7割を占める飼育費の中でも、豚の餌となる輸入トウモロコシの高騰が経営を圧迫しているのが現状で、農林水産省の統計では、出荷された1頭あたりの価格が約3万1500円なのに対し、1頭にかかるコストが2万7649円なので、儲けはたったの4000円ほどしかないそうです。(2011年畜産物生産費統計より)

このことからも、養豚農場にもある程度のスケールが必要となっており、私たちが食卓でより安く、そしておいしい豚肉を食べられるようにするためには、ある一定以上の生産量の確保が当然必要となってくるのです。

そこで三元豚のような品種の掛け合わせを行うことで、「発育が遅い」「出産する子豚の数が少ない」「良質な肉質なのに体が小さい」などといった、それぞれの品種のもつ欠点を上手く補い合うことができ「安定した生産性」と「良質な豚肉」の両方のメリットを生み出すことができるのです。

 

三元豚が多い理由

①美味しい豚肉を作るため
②大量生産に適した品種を作り出すため

  

 

三元豚はどんな豚で構成されている?

さてそんな掛け合わせて作られた三元豚ですが、掛け合わされる品種というのはおおよそ決まっています。ここではその品種について少し解説します。

①ランドレース種(L)

デンマーク生まれ。肉量があり、体が丈夫で繁殖力が高いことが特徴。発育が早いため、飼育頭数も多い豚です。三元豚から見ると、“お祖母ちゃん”の位置にあたる豚です。

②大ヨークシャー種(W)

イギリス生まれ。肉質が良く加工品にもよく使われている品種。ランドレースには劣りますが、この品種も飼育頭数が多い豚となっています。三元豚から見ると、“お祖父ちゃん”の位置にあたります。

デュロック種(D)

アメリカ生まれ。体が大きく体毛が褐色なので、一見、豚には見えない外見をしています。また体が丈夫で飼いやすく、肉の味が良いと言われている品種です。三元豚から見ると、“お父さん”の位置にあたります。 

三元豚ができあがる過程を人間に例えて表してみると、①ランドレースのメス豚【母親】と②大ヨークシャーのオス豚【父親】との子どもであるメス豚【娘】<※別名:LW>と、③デュロックのオス豚【娘の旦那】から生まれた子どもが「三元豚【孫】<LWD>」というような家系図になります。

出典:HyLifepork
とんす
とんす
まあややこしいので特に理解する必要はないけどな♪

これは日本の養豚業界が、長い年月をかけて模索し生産性とおいしさを最大限に活かすことができる組み合わせなのです。

また、その他の品種としては、バークシャーや中ヨークシャーという品種もあります。

バークシャー種(B)

イギリス生まれ。体毛は黒い毛をしているが、4つの足先と鼻先、しっぽに白い毛があるのが特徴。私たちがおいしい豚としてイメージする「黒豚」がこの品種です。

明治時代にイギリスから鹿児島へと輸入されたのがはじまりで、現在では鹿児島県の特産にもなっています。

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三元豚に使われている3品種に比べると、体格はやや小さく中型の品種です。肉質は筋肉の繊維が細いためやわらかく、サツマイモをエサにしているため脂質が非常良く人気があります。

バークシャーのような黒豚は、一般的にその価値を維持するため三元豚のように他の品種との交配はさせず、黒豚同士で交配した“純粋種”のみで育てています。

中ヨークシャー

イギリス生まれ。日本に初めて輸入されたのがこの品種で、昭和30~40年代前半ごろまでは日本の養豚農業の主流品種でした。そのため年配の人の中には豚肉といえばこの品種の味を想像する人も少なくありません。

中ヨークシャーは他の品種に比べると脂肪が厚く、甘みがあるのが特徴。しかし、出産する子どもの数が少なくバークシャーのように体もやや小さい中型の品種のため、徐々に生産は減少し、現在では一部の限られた養豚農場だけで生産されています。

また、沖縄原産の「アグー豚」やイギリス原産の「ハンプシャー豚」、スペイン原産の「イベリコ豚」やハンガリーの「マンガリッツァ豚」など他にも様々な品種の豚が飼育されています。

 

有名な三元豚をご紹介

ブランド豚として有名なのが平田牧場の三元豚で、ここでは通常の三元豚よりも約50~70日ほど長く飼育し、出荷されています。

平田牧場で育てられている豚は、通常の三元豚(LWD)とは少しかけ合わせ方が異なっています。

ここでは、ランドレース(L)とデュロック(D)の子どもに、「バークシャー(B)=黒豚」のオスをかけ合わせた「平田牧場三元豚<LDB>」という品種を育てています。

バークシャーを交配させることで、その特徴でもある良質な肉質とやわらかさが増し、脂質も多くサシがほど良く入っているため、口の中でとろけるようなジューシーでおいしい三元豚になるのです。 

また、この平田牧場では「金華豚(K)」という品種の豚も飼育しています。金華豚は頭としっぽだけが黒い小型の豚で、肉質は良いが子豚の数が少ないのが特徴です。

この金華豚は現在、全国で2カ所のみでしか育てられておらず、もう1カ所の静岡県畜産技術研究所では金華豚(K)とデュロック(D)をかけ合わせた「フジキンカ」というブランド豚を販売しています。

平田牧場純粋金華豚の味は、まさに最高級和牛の豚肉版といっても過言ではないほど、白く綺麗なサシや非常にやわらかく上質な肉質とうま味がつまっています。

金華豚について詳しく見る

 

三元豚と四元豚の違い

四元豚は三元豚のさらに1つ工程の多い、4品種の豚をかけ合わせた豚のことをさします。

日本ではあまり馴染みはありませんが、欧米では四元豚の方が一般的なので輸入されてくる豚肉の多くはこの四元豚です。

ここまで解説してきた一般的な三元豚<LWD>にチェスターホワイト種というアメリカ原産の豚を交配させたものが「四元豚」と呼ばれることが多くなっています。

特に「四元豚シルキーポーク」が有名で、薄いピンク色にほど良い脂質が入り、甘みもあるので日本人好みの豚肉と言われています。三元豚と比べると、四元豚の方が臭みも少なく、値段も少し高価なのが特徴です。

四元豚シルキーポークについて詳しく見る

 

三元豚まとめ

今回は三元豚について詳しく解説させていただきました。日頃よく耳にする三元豚も様々な組み合わせがあり、よりおいしくなるよう工夫がされています

また三元豚の名前の由来には生産者の努力がつまった豚肉の長い歴史がつまっていたのですね。今度スーパーやインターネットなどで三元豚を取り寄せた際には、是非そのような点にも注目してみてください。

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まふろー
当サイト管理人のまふろーです。20代後半のサラリーマンで、昨年からふるさと納税を始めました。魚介類や家電などには興味がなく、ただひたすら旨い肉を求めてふるさと納税をしてきました。このサイトでは私が10誌以上に上る雑誌や書籍、そしてネットなどから仕入れた情報をもとに、「本当にお得な肉」のふるさと納税返礼品についてお伝えしていきます。ご期待ください。