仙台、お肉、と聞くとパッと思い浮かぶのは牛タンではないでしょうか?かく言う私もその一人です。
ところが、宮城には牛タン以外にも有名な牛肉が存在するのをご存知でしょうか。そう、それこそ今回ご紹介する「仙台牛」です。
この記事では宮城県が誇る仙台牛に関して、その特徴や値段、ギフト選びのポイントなど多岐に渡ってお伝えできればと思います。
仙台牛は非常に認定基準の厳しい牛肉

実は仙台牛はその知名度の低さとは裏腹に、「仙台牛」と名乗るための基準は非常に厳しい牛肉なのです。
・黒毛和牛であること
・仙台牛の生産登録農家が個体に合った適正管理を行い、宮城県内で肥育された肉牛であること
・仙台牛銘柄推進協議会が認めた市場、並びに共進会などに出品されたもの
・日本食肉格付協会枝肉取引規格が、A5またはB5に評価されたもの
特に定義の最後に書かれた「A5またはB5」という基準は他のブランド牛と比べても全国1レベルで厳しい審査基準となっています。
いわゆる「ブランド牛」と呼ばれる牛肉の中でも、ここまで厳しい基準を課しているものは仙台牛だけです。
参考に、三大和牛として名高い神戸牛や松阪牛、近江牛、米沢牛の格付け基準を見てみましょう。
【神戸牛】歩留等級がA・B等級であること、肉質等級が4以上であること
【松阪牛】松阪牛は、現在では産地や枝肉の格付に関係なく、システムに登録した牛なら松阪牛となりますが、肉質等級が5のものを「金」、4のものを「銀」とする独自の基準があります。
【近江牛】日本食肉格付協会の格付けに基いた定義がないため、黒毛和種であり、滋賀県産という条件を満たせばどの肉質等級および歩留等級であっても近江牛を名乗ることができます。その中でも、A-4、B-4以上の格付けの枝肉には認定書や認証シールが発行されます。
【米沢牛】日本食肉格付協会が定める3等級以上の外観並びに肉質及び脂質が優れている枝肉を指します。
このように、仙台牛は「ブランド牛」と言われてすぐに思い浮かぶ銘柄ではありませんが、神戸牛、松阪牛、近江牛の日本三大和牛をしのぐ厳しい基準をクリアしなければならないことがわかります。
ちなみにA5ランクってなに?という方は下の記事で詳しく解説していますので参考にしてみてください。

なお宮城県では、年間およそ20,000頭が食肉として出荷されていますが、その中で仙台牛として出荷できるものは、その3割程度と言われています。
厳しい基準をクリアした仙台牛を味わえる店「仙台牛銘撰」とは


さてそんな仙台牛ですが、実は提供するお店に対しても厳しい基準を設けています。それが「仙台牛銘撰」という組織です。
「仙台牛銘撰」とは、「全国でもトップレベルの質・量を誇る「仙台牛」を、より多くの皆さまに味わっていただきたい」という思いから、仙台牛銘柄推進協議会が中心となって設立された組織です。
その背景には、「仙台牛」を取り扱う店舗は増加している一方で、消費者が心から満足できる、多彩なメニューを豊富に取り揃えている店舗が、まだまだ少ないことがあります。
以下の条件をクリアして店舗によって組織されており、この基準をクリアした店舗では間違いなく美味しい仙台牛を食べることができます。
1.「仙台牛」・「仙台黒毛和牛」の定義を理解していること。
2.メニューに銘柄名(仙台牛)を表示し、常時提供している。
3.他銘柄牛をメインに取り扱いをしていない、他銘柄牛を定番メニューへ表示をしていない。
4.宮城県内の特定料理提供業者であること。
特定料理提供業者とは
さて上に出てきた「特定料理提供業者」というのがありますが、これは以下のような店舗のことで、要するに「仙台牛の専門店」といっても過言ではないかと思います。
・特定料理(焼肉・しゃぶしゃぶ・すき焼き・ステーキ)の提供事業を行う店のうち、料理の提供を主たる事業とし、かつ提供する料理が主として特定料理であるもの。
・特定牛肉の個体識別番号の表示および帳簿を備え付けている。
・牛肉料理のメニューの内1/2以上が仙台牛・仙台黒毛和牛のものである 。
・牛肉料理全体の売上の1/2以上を仙台牛・仙台黒毛和牛が占めている。(上記の6. 7.はいずれかに該当すること)
「仙台牛」の銘柄確立のため、ブランドイメージ(品質の高さ)・知名度・認知度を高める活動に協力ができること。
仙台牛銘撰のお店(一部ご紹介)


この仙台牛銘撰に加盟する料理店の中には以下のようなお店があります。どのお店も高い評価を受け、仙台牛の美味しさを最大限に発揮した料理を提供しています。
黒毛和牛 牛正


黒毛和牛 牛正は食べログ評価3.6を獲得する有名店です。完全個室で炭火焼きにこだわる牛正は、店主自らが市場で一頭買いしてきた牛肉を提供しています。そのためメニューが多彩なのが特徴です。
仙台牛焼肉 花牛


花牛も高い評価を受ける仙台牛焼肉店です。このお店、精肉メニューは全て仙台牛となっているほど仙台牛に特化したお店です。
すき焼き・割烹 かとう


仙台牛をすき焼きとして味わうことができるのが、この「かとう」です。直営の精肉店から仕入れた新鮮な仙台牛を提供しています。
仙台の牛タンと仙台牛は関係あり?


冒頭でも述べたとおり、仙台と言えば牛タンが有名です。牛タンと仙台牛に関係があるのでしょうか。ここでその疑問について少し触れたいと思いますが、最初に言っておくと仙台牛たんと仙台牛にはほとんど何の関係もありません。
詳しく知るには仙台牛たんの歴史を紐解くことから始まります。
仙台牛たんの歴史


仙台で牛タンが食べられるようになったのは、戦後のことです。焼き鳥屋を営んでいた佐野啓四郎さんは、師事していたフランス人シェフから牛タンの美味しさを説かれ、自ら研究を重ねていました。
タンシチューから着想して、当時の日本人の味覚に合うように、タンを薄い切り身にして塩焼きするという調理法の「牛タン焼き」と「テールスープ」を開発しました。
当時は牛タンを手に入れるのが難しく、宮城周辺の県にまで仕入れに行くこともありました。現在の形の「牛タン定食」がメニューとして成立したのは1950年のことです。しかし、当初は人気がありませんでした。
人気が出てきたのは高度経済成長期に入ってからで、仙台に転勤したり単身赴任で来た人の間で美味しいと話題となり、評判となっていきました。
これが仙台牛たんのルーツです。
牛タンのほとんどは輸入牛
その誕生の経緯からも、庶民の味として安価に提供するためにも、仙台牛タン焼きは、脂肪の付き具合いが良いアメリカ産でなくてはならないという考え方があります。
そのため材料の牛タンは、ほとんどアメリカやオーストラリアからの輸入品です。
宮城県は農畜産物・水産物の地産地消を目指しており、輸入品を材料とする牛タンを名産品とすることに疑問の声もあがっています。
そのため、仙台牛を使用した高級メニューを提供する牛タン店も出てきています。
この歴史から見てもわかるように、牛タンと仙台牛、それぞれの発展の過程は全く別で、関わりはないのです。
仙台牛と神戸牛ならどっちが上?


ここまで仙台牛は審査基準が日本一レベルで厳しいですという話をしてきました。そこで気になるのが、日本一とも称されることの多い神戸牛と仙台牛ではどっちが上なのか?ということです。
ここでは私の個人的な見解と、歴史的背景などもふまえながら神戸牛と仙台牛どちらが上なのか?考えてみたいと思います。
先程も見てきましたが、仙台牛は格付けがとても厳しいです。それに比べて神戸牛は若干基準が緩く、歩留等級がA・B等級であり、肉質等級が4以上であればいいとされています。
神戸牛は世界的にも有名なので、たくさん流通させる必要があります。そのため、肉質等級の許容範囲を広く設定し、流通量を拡大したという事情があります。
対する仙台牛は肉質等級を最高級の5のみに絞っているため、流通量はとても少ないです。また、どこのスーパーや精肉店でも購入することができるわけではありません。仙台牛の販売が指定されているお店と認定されたお店のみで販売されています。それが知名度の低さにもつながっています。
それぞれの味の特徴はというと、仙台牛は口当たりが良く柔らかで,まろやかな風味と豊かな肉汁が特徴です。バランスのいい霜降りで、上質な味わいです。
神戸牛はサシ(脂肪)が筋肉の中に細かく入り、これが筋繊維と交雑して「霜降り」となっています。神戸牛のサシは他の和牛と比べ、人肌で溶けるほど融点が低いのが特徴です。
牛肉の味は、脂で決まるとも言われています。数あるブランド牛の中でも神戸牛が特に有名なのは、口に入れた瞬間にとろける脂によるところが大きいと言えますね。
仙台牛は肉質等級を5以上としているため、最高の霜降りが保証されています。その点、神戸牛は肉質等級4のものもあるので、常に最高級のお肉が味わえるという点では仙台牛に軍配が上がると言ってよさそうです。
しかし、牛肉の美味しさというのは何もランクやサシの量だけで決まるとは限りません。育て方や、管理の仕方、そしてそもそもの牛肉のルールなど牛肉の味に影響を与える要素というのは他にもたくさんあるのです。
客観的な基準で考えれば仙台牛の方が神戸牛よりも美味しい可能性はありますが、実際のところそれは比べられないものだと思います。
仙台牛と神戸牛の100gあたりの値段比較


とはいえ実際にどれくらいの差があるのか知りたいという方もいると思いますので仙台牛と神戸牛ではどちらが高価なのか、部位別に価格を調べてみました。
サーロイン 神戸牛 2,800円 仙台牛 2,700円 |
肩ロース 神戸牛 1,900円 仙台牛 2,280円 |
モモ肉 神戸牛 950円 仙台牛 1,880円 |
比較してみると、若干仙台牛の方が高価であることがわかります。絶対数が少ない分、価格に反映されていると見ることができます。
仙台牛をギフトにする際の選び方のポイント


日頃の感謝やお祝いの気持ちを伝える手段として、高級感のある仙台牛のギフトは最適のギフトです。ここでは仙台牛をギフトにする際のポイントをお伝えします。
仙台牛以外のお肉であれば、まず大切なのがランクになってきますが、仙台牛はもうすでに最高級の肉質が保証されていますので、その心配はありません。
ポイントは以下の2つです。
・見た目
・どこで購入するか
仙台牛ギフト選びのポイント①見た目


まず、色が鮮やかで黒ずんでいないかをチェックしましょう。仙台牛は霜降りですから、脂肪と赤身の境目の部分がはっきりとしているかどうかも確認してください。その脂肪が白いか、または薄いピンク色であることもポイントです。
仙台牛ギフト選びのポイント①購入場所


次に重要なのはどこで購入するかです。
牛は生き物ですので、たとえ同じ生産者の牛でも個体差があります。そこで重要になるのが仲卸業者や販売業者といった、”目利き”をする立場の存在です。
個体差がある高級な食材だからこそ、失敗しないためにも、信頼できる販売業者で購入することをオススメします。
現地で仙台牛を購入するなら、仙台牛銘撰に加盟しているお店が安心です。加盟店の一つである「すき焼き・割烹 かとう」さんは精肉店が隣接しています。さらにオンラインショップもあるので、いつでも上質なお肉を買うことができます
同様に仙台牛銘撰加盟店の「すてーきはうす伊勢屋」さんのオンラインショップでも購入可能です
通販や取り寄せなら、「肉のかわむら」さんがイチオシです!なぜなら、ここは2年連続で【日本一】を獲得した川村ファームの最上級A5ランク仙台牛を販売している通販サイトだからです。
ギフトとは心を贈るものです。相手に喜んでもらうためにも、しっかりとポイントをおさえて、美味しいお肉を選んで贈りたいものですね。
仙台牛まとめ
今回は全国随一のブランド牛「仙台牛」について、その定義や値段、有名なお店など細かくお伝えしてきました。
ご説明してきた通り、仙台牛は審査基準が厳しく非常に洗練された牛肉です。仙台に行った際には牛タンも良いですが、ぜひ仙台牛も味わってみてください。
