今、飛騨牛が人気?
日本には「松阪牛」「神戸ビーフ」「近江牛」などに代表されるブランド牛が数多く確立され、厳重な品質管理のもと独自のノウハウを駆使して育て上げて、消費者の嗜好を満足させるべく日々努力を重ねています。
その中でも柔らかい霜降りの肉質と、肉本来の旨みが両立している牛肉として「飛騨牛」のブランド牛としての人気が上がってきています。
ブランド牛を食べる機会の多い食通の消費者からも、「高級なのは松阪牛」「旨いのは飛騨牛」という評判も耳にします。
そこで今回は、近年人気が上がってきている「飛騨牛について」の特徴や、歴史、お値段の相場などと共に、その美味しさの秘密についてご案内しようと思います。
飛騨牛の特徴はきめ細かな霜降り

まず、最初に「飛騨牛」の肉質の特徴についてご説明します。一言で言えば飛騨牛の特徴は肉に入る上質な「サシ(霜降り)」です。
牛肉には「赤身」と「霜降り肉」があることは皆さんもご存知のとおりです。基本的に日本のブランド牛の多くは「霜降り肉」の柔らかさと美味しさを売りにしており、牛肉を食べる日本の消費者のほとんどの人が「霜降り肉」を美味しい肉として評価しています。
そんな中、飛騨牛の肉質はとてもキメの細かい筋繊維を持ち、このきめ細かい筋繊維の間に脂肪交雑(サシ)が入り込むため、とても柔らかい肉質となっていて非常に高い評価を受けています。
そして飛騨牛のきめ細かいサシが香りをひきたたせ、アミノ酸などの旨みも増幅していきます。
こういった理由から、飛騨牛は口に入れるととろけるような柔らかさと、風味豊かな香りと旨みが味わえる牛肉となっているのです。
飛騨牛の赤身肉の特徴

最近では健康志向の高まりと共に、今までは霜降り肉よりも人気が劣っていた「牛肉の赤身」の消費者ニーズが高まりつつあります。
続いて「飛騨牛の赤身」の特徴がどういったものなのか解説していきます。
霜降り肉が筋繊維に入り込んだ脂によって風味と旨みと柔らさが増すのに対して、牛肉の赤身は肉本来の旨みが楽しめると言われています。
この赤身の持つ「牛肉本来の旨み」が、飛騨牛では「噛めば噛むほど味が出る」と、とても高い評価を以前から受けています。
この飛騨牛の赤身を味わうのには、それぞれの部位に適した食べ方があります。赤身ステーキならランプ肉、赤身焼き肉ならモモ肉と言った具合です。
その中でも、フィレ肉の最高級部位である「シャトーブリアン」をアッサリと塩、胡椒だけでいただくのが、赤身の旨みを楽しむ最高の味わい方と言われています。
飛騨牛の年間出荷頭数は約11.000頭!

さてここまで解説してきたように高い評価を受けている飛騨牛ですが、その年間出荷頭数は約11,000頭となっています。
参考:飛騨牛銘柄推進協議会
ちなみに世界的に名高い神戸ビーフは年間出荷数が5,000頭と言われており、キロ当たりの価格も飛騨牛の倍以上の値段が付けられていることもあります。
飛騨牛には指定販売店制度というのがある

ちなみに飛騨牛には「指定販売店制度」なるものが存在します。
飛騨牛銘柄推進協議会では、全国の消費者が安心して飛騨牛を食べられるるように「指定販売店制度」を導入しています。この指定販売店制度は厳しい要項が定められており、それに適合した店舗のみが「指定販売店」として認められます。
また同様の目的で、「指定料理店制度」というものも設けてあります。現在、指定販売店が205店舗、指定料理店が187店舗、海外推奨店が10店舗という規模で展開しています。
飛騨牛本来の美味しさを味わい他の方は、これらの店舗をご利用になることをおすすめします。
そもそも飛騨牛ってどんな牛肉?
さてここまで飛騨牛の特徴や美味しさの秘密について解説してきましたが、そもそも飛騨牛ってどんな牛肉なんだっけ?というのをお伝えしておこうと思います。
飛騨牛の定義

(品種)黒毛和種
(地理的表示)岐阜県内で14ヶ月以上肥育
(格付け)日本食肉格付協会の枝肉格付で肉質等級が3以上、歩留等級がAまたはB引用:Wikipedia
飛騨牛とは飛騨牛銘柄推進協議会で認定、登録された農家で14ヶ月以上ほ肥育期間がある黒毛和種の肉用牛のことを指します。
この際に、一番長い肥育期間を飛騨地方で過ごしていなくてはなりません。さらに日本食肉格付け協会によって5等級、4等級、3等級以上の格付けをされた肉、この4つの条件を満たした飛騨地方の黒毛和種だけが「飛騨牛」として認められます。

ちなみに飛騨牛は格付けで3等級以上の肉だけが飛騨牛と名乗れますが、これは他のブランド牛と比べると比較的厳しい認定基準となっています。
このことはつまり、「飛騨牛」と呼ばれる肉の品質の高さを示します。
飛騨牛の歴史


飛騨牛の歴史は一頭の「但馬牛」の導入から始まります。
それまでも岐阜地方では農作業用に牛を飼っていましたが、昭和40年代頃から農業の機械化が進み、それ以後は肉用牛へと舵をきっていったのです。
そうして肉用牛の肉質改良が進められる中、昭和56年に一頭の「但馬牛」が種雄牛として岐阜県に導入されます。この但馬牛の名前が「安福号」といい、この「安福号」が飛騨牛の歴史に大きな役割を果たします。
この安福号の種と交配させ生まれた牛の肉質がとても優秀だったので、以後岐阜地方で生産される肉用牛の大半を占めるようになります。
安福号導入の7年後、アメリカ政府の農産物自由化という外圧により、オレンジと共に牛肉の関税が引き下げられ、このままでは、安い輸入牛肉に市場を奪われるという焦りが岐阜地方の肉用牛農家を襲い、危機感をつのらせます。
その結果、付加価値の高い岐阜地方の黒毛和牛のブランド化が必要になり、生産農家、販売店の努力によって生まれたのが「飛騨牛」というブランドなのです。
飛騨牛の値段相場は?


では、最後に飛騨牛の部位ごとの相場をご案内します。飛騨牛を購入される際の参考になさってください。
飛騨牛のサーロインについて楽天・ヤフー・Amazonでそれぞれ調べてみたところ、以下のようになりました。
部位 | 楽天 | ヤフー | Amazon |
サーロイン | 27、000円/1キロ ブロック |
17,600円/800g ステーキ |
15,000円/850g ステーキ |
ヒレ | 15,256円/500g ブロック |
13,980円/500g ステーキ |
16,500円/500g ステーキ |
カルビ | 11,500円/1kg 焼肉用 |
14,472円/2kg 焼肉用 |
18,000円/1kg 焼肉用 |
肩ロース | 9,828円/1キkg スライス |
10,000円/700g すき焼き用スライス |
18,000円/1kg すき焼き用スライス |
モモ | 11,880円/1kg ブロック |
10,629円/1kg ブロック |
値段的には神戸牛よりも少し安いかな?というくらいで、ブランド牛の中では高価な牛肉といって間違いないかと思います。
飛騨牛についてのまとめ


今回、飛騨牛についてご説明をしてきましたが、その中でも飛騨牛の品質管理について特にご理解をしていただきたく書きました。
牛肉は、商品として加工されるとその製品が本当にブランド牛の肉なのかは、消費者には見分けがつきません。
このことを利用して、過去には産地や肉質等級を偽った「偽装牛」が出回った例もあります。元値の安い牛肉を「ブランド牛」に仕立て上げて売れば、利益が得やすいからです。
そして残念ながら「飛騨牛」においても過去に偽装牛事件が発生しました。結果的に常日頃から飛騨牛の付加価値を高めるために努力を積み重ねている生産農家や販売店に多大な迷惑がかかったのです。
しかし、現在は前述した通りに認定店の制度を設けたり、トレーサビリティシステムを導入することによって生産過程を透明化するなどの対策が施され、我々消費者が安心して本物の飛騨牛を食することができるようになっています。
飛騨牛は私が最も好きな牛肉の1つであり、非常に美味しいのでぜひ食べてみてください。
